九徳とは

九徳とは、人が行うべき九つの徳の事指します
中国古代の歴史書である「書経–皐陶謨」にその九つが記されています。
では、具体的にどの様な徳を積めば良いのか?を紐解いてゆきますが、
私自身、頭では分かっていて『こんな人間になろう』と決めていても、
いざその場になってみると中々実践出来ない事ばかりです。
何故なら、九徳とは『相反する事の両立』だから。
ですから、一度二度実践して出来なくて「あーもういいや」と投げ出すのではなく、
何度も何度も何度でも根気良く、九徳が身につくまで実践してみてください
とは言え人間は、簡単に物事を忘れる様に出来ているので、
忘れそうになったら思い出す為にまたこの記事を読みに来てくださいね
相反するものが両立した時に価値(魅力)が生じる

寛にして栗
寛大さがあるが、しかし、同時に締まりがある状態のこと
寛大で何に対しても「君の好きにやったら良いよ」と言ってくれるが詰めが甘くゆるゆるだったり、
規律(ルール)に縛られ過ぎて寛大さが全く無い人間は面白みも無い。
この相反する事が両立している人間は至極少数派であるから、希少。(存在価値がある)
柔にして立
柔和であるが、しかし、同時に物事の処理が出来る状態のこと
優しく穏やかだけど、スピーディーさや処理能力が伴っていなかったり、
逆に、物事をスピーディーに処理出来る有能な人間だけど、優しさや愛嬌が無ければ倦厭されてしまう
この相反する二つを両立している人間には価値がある
愿にして恭
真面目さがあるが、しかし、同時につっけんどんさが無く丁寧な対応が出来る状態のこと
真面目である事は素晴らしい事だけど、真面目過ぎて融通が効かなかったり、
丁寧で横暴さは無いけれど真面目さも無かったりすると「都合が良い人」になってしまう
相反するこの二つが両立した時に、真面目なんだけれど丁寧で融通が効く価値ある人間になれる
乱にして敬
物事を治める能力(力)があるが、しかし、同時に慎み深くもある状態のこと
確かに能力(力)があって物事を治める事が出来ても、「俺が!俺が!」というタイプだと煙たがられるし、
前に出る様なタイプではなく大人しく慎み深くあっても、自分の意見が無ければその程度になってしまう
この相反する二つを両立出来た暁には、力があるのに普段は威張る事無く慎み深い希少価値のある人間になれる
擾にして毅
大人しく優しいが、しかし、同時に芯がしっかりしていて信念を突き通す強さを持っている状態のこと
優しさは大切で同性からも異性からもモテ要素の一つであるが、優柔不断では「あの人って、ただ優しいだけだよね〜」となってしまうし、
内面がしっかりしていて自分の信念を貫き通す強さを持っていても、それだけではKY(空気が読めない人)になってしまう
この相反する二つを両立している人間は、
優しいだけではなく芯がしっかりしていて信念を貫く強さを兼ね備えた希少価値のある人間だと言える
直にして温
正直、率直、思った事を口に出してしまうタイプだが、しかし同時に、温和である状態のこと
率直にものを言う人間は裏表が無く信頼されやすくもあるが、しかし、率直過ぎるが故に相手を傷つけてしまう事もある
ただ温和なだけの人間は、トゲトゲしさは無いが相手に意見する事も無いので「都合が良い人間」として使われてしまう
この相反する二つが両立した時、温和でトゲトゲしさが全く無いのに思った事を率直に言ってくれる希少で価値のある人間になれる
簡にして廉
大まかさがあるが、しかし、同時にしっかりしている状態のこと
細かい事に拘らない大まかな人間は他者から好かれやすいが、それだけでは杜撰な人と捉えられてしまうし、
逆に、きっちりし過ぎていても「あいつって堅物過ぎて一緒にいると息苦しいよなw」と影で言われてしまうかもしれない
きっちりしている事は決して悪い事ではなく寧ろ誠実で良い事だけれど、
それだけでは堅物になってしまうので大まかさもあると一緒にいやすかったり、仕事がしやすい。
逆に、大まか過ぎてゆるゆるではだらしがない人になってしまうので、
そういった人はきっちりさが必要。
相反するこの二つを両立している人は、どこに行っても通用する希少価値のある人間だといえるでしょう
剛にして塞
剛健であるが、しかし、同時に押し付けがましさが無く思慮深い状態のこと
意志が強く、何事にも怯まず剛毅な性格が故に、それだけでは対立も多くなりがちだし、
緻密で慎重であっても、それだけでは積極性やスピードに欠ける為「君、仕事が遅いよ〜。もっと早くやってくれ!」と言われてしまうかもしれない
この相反する二つが両立した時、
意志が強く何事にも怯まないのに、慎重で緻密な抜け目の無い希少な人間になれる
彊にして義
豪勇であるが、しかし、同時に道理を弁えていて暴走せずに行動出来る状態のこと
人並み外れた勇気の持ち主が故に暴走してしまったり、
正し過ぎて行動力に欠ける人間は多い
この相反する二つを両立する事が出来れば、
正しさがあるから暴走する事も無く、スピーディーに行動出来る希少な人間になれる
九徳のまとめ

いかがでしたか?
私自身、過去の自分を振り返ってみると、
物事を処理する能力はあるが、ルールに縛られた堅物で柔和さに欠けていたり、
真面目過ぎて、トゲトゲしく愛嬌が無かったり、
嘘をつけず正直、率直に物事を言うから裏表は無いけれど、相手に寄り添う事に欠けていたり
20代前半の私はこんな感じでした。
そして、冒頭でも書いた通り『頭では分かっていても出来ていない』ので、
意識はしていますが、まだまだ未熟です。
『厳格であるのに、同時に寛大でなければならない』という様に、
矛盾し相反している事柄を九つ挙げましたが、当然これだけではありません。
日常生活においても、
「◯か?×か?」
「白か?黒か?」
「Yesか?Noか?」
と、物事を極端にどちらかで判断しようとすればコンピュータになってしまいます。
相反する事柄の両立に思い悩みながらも、
何とか同時に収めようとする様に人間味があるのではないでしょうか。
「技術がある」とか、「知識が豊富」だとか、これらが無くても人間で無くなる事はありません。
しかし、これらを全て持ち合わせていても『思いやりの情』が無ければどうにもなりません。
情が無ければ畜生以下な存在となってしまうかもしれません。
九徳を心得とし、共に精進して参りましょう^^